序
”好きです”
その一言でシンデレラは信じられないほどの幸福を手にする事が出来ました。
王子様はこれ以上にない程の笑顔でシンデレラを抱き締めます。
”もう私の事など、忘れてしまったと・・・”
美しい女性達と楽しそうに踊る王子様の姿が忘れられないシンデレラは信じられない気持ちです。
”忘れようとしたが、やはり君でなくては駄目だった”
王子様は失意のあまり他の女性に目を向けようとしましたが、やはりシンデレラへの想いは消えなかったのです。
王子様自身、シンデレラの告白が信じられませんでした。
二人にとって夢のような時間が流れる中、このままそれが続くと信じて疑いませんでした。
しかし―――
”許さぬ”
王子様の父上様ははっきりと言いました。その声には少しのいたわりも感じられません。
”そんな下賤な者と結婚など・・・”
”シンデレラは下級とは言え貴族です”
王子様は言い募りましたが父上様は全く相手にしてくれません。王子様と下級貴族とではあまりに身分が違いすぎたのです。
身分違いの結婚は許されないこの世の中で、まさか王子様がそんな事を言い出すとは思ってもいなかった父上様は溜息を吐きながら言いました。
”お前に相応しい姫がいる。お前は彼女と婚約するのだ”
”父上!?”
”それからしばらく外出を禁ずる。城で大人しくしていなさい”
そして一方的に言い放つと王子様を置いて行ってしまいました。
可哀想に、王子様は絶望に打ちひしがれました。父上様の言う事は絶対なのです。どうあっても逆らう事など出来ません。
”そんな・・・シンデレラ・・・!!”
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