序
”どうしてあなたが・・・”
突然悪魔の王子様が目の前に現われて、シンデレラは怯えました。
”また、私を騙すつもりですか・・・?”
眠りの森の王子様に拒絶されてこの上彼にも、と思うだけでシンデレラは悲しくなります。
”もう私の事は放っておいて下さい・・・!帰りますから・・私なんてやはりこの場に相応しくなんてな・・”
しかしシンデレラは最後まで言葉を言う事が出来ませんでした。なぜなら悪魔の王子様に抱き締められたからです。
シンデレラはとても驚いて、目に一杯に溜めていた涙も消えてしまいました。
”は・・離して下さい・・私はもう騙されません・・・!”
シンデレラは王子がまた騙そうとしていると思い込もうとしました。また信じて裏切られるのが怖かったのです。
そんなシンデレラの気持ちを王子もよく分かっていました。
”すまない・・君を騙した事は謝る・・”
”今更何を・・・”
これも嘘なのかしら、とシンデレラは困惑しましたが間近で見る王子の顔は真剣そのものでした。
その姿にシンデレラは胸がときめくのを止める事が出来ません。彼女の頬もいつのかには薔薇色になっていました。
恥ずかしくなったシンデレラは慌てて横を向きましたが、すぐに王子の手がシンデレラの頬を捉えました。
”本当なのだ。本当に心の底から君に謝りたいと思っている”
”わ・・私は・・・・”
王子の瞳を見詰めていてはいけないと思ってもシンデレラはどうしても目を離す事が出来ませんでした。
シンデレラが固まっている間に王子は彼女の頬に添えていた手に力を込めて、少し上向きにしました。
”え・・・・っ・・!!?”
シンデレラは大きく目を見開きました。無理もありません。なぜなら・・・
なぜなら、王子がシンデレラに突然キスをしたのですから。
初めての事にどうする事も出来ない哀れなシンデレラはただ身を任せるしかありません。
ですが、シンデレラはキスよりも何よりも次の瞬間、王子の呟いた言葉に完全に凍り付いてしまいました。
”・・・好きだ・・”
”好きだ好きだ好きだ好きだ・・!・・・好きなんだよ・・シンデレラ”
それはずっとシンデレラが求めていた恋の魔法でありました。
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